どんな時にも命は輝く
~最期まで暮らし続けられる地域を目指して~
講師 秋山正子さん (看護師になって、在宅ホスピスの訪問看護からはじめた。訪問看護の会社を立ち上げ、地域に”暮らしの保健室”を開設、近所の方々の健康相談をはじめる。今は、がん患者と家族のための相談支援センター”マギーズ東京も開設している) 10月15日桑名市大山田コミュニテイプラザにて。
冷たい雨が降っていた。
講演では、わたしたち市井に暮らす者、「人生の最期をどう捉えているか」「人の支えが要るようになったときの生き方とは?」「医療ってどういうことだろう?」「看護とは?」「介護とは?」などなど、秋山さんの実践例から、いっぱいのテーマを問いかけてもらったように感じた。
秋山さんは、患者さん一人ひとりを大事だと見るところからかかわっている。 小学校の講演会で、2年生の男の子から、「なんで人の気持ちがわかるんですか」と質問された。秋山さんは、その人が「どんなことを考えている人かな」「今どんなこと感じているかな」と、一生懸命感じようと思って、その人に寄り添っていこうとしているかな、と答えている。
秋山さんは、高齢化についても、行きがたさを感じている人も、問題視はしていない。まず、気持ちを聴くところからはじまる。 行政はその問題解決のために地域包括ケアシステムなどのを提唱し、進めている。秋山さんは当面、その仕組みを知って、最大限活用し、その人が最期をその人らしく迎えられるよう心身ともにケアしている。 複雑に分化している医療、看護、介護を、患者や家族の意志や気持ちに添えるように、多職種連携に最善を尽くしている話には、頭が下がった。 このような実例をいくつも詳しく語ってくれて、分かりやすかった。一人暮らしでも、在宅で看取ってもらえる! その人や家族や地域の人たちが持っている気持ちを知りさえすれば、テーマにある「どんな時ににも、どんな人も、命は輝く」と、人を大事にする地域になれると思った。
秋山さんは、実際に向き合いながら、「人間とどういうものか?」「人の幸せな生き方とは?」を探っているように見えた。そのために、地域社会をどうなっていいか見つめている。伝わってくるものがあった。 秋山さんが実現している実践例が、「誰でもこれならやれる」というものなら、その心と仕組みが他に伝わっていくのかなと思いました。
人の最期のプロセスは、”魂の危機”という捉え方がある。医療では出来ないことでも、看護ではそれを受けとめることができるという。そのためには、それが出来るチームが要るというのである。 秋山さんたちが進める活動や暮らしは、そういうチームをつくっていると感じた。
講演の最後の質疑で、この企画の主催者の善西寺の矢田住職が、「いくつもの団体を立ち上げ、チームをまとめていくには、どこをポイントにしていますか?」と秋山さんに問うた。秋山さん「まとめないんです。一人ひとりのよさを認めあって、自立したお互いですすめています」 どういうことなんだろう?もっと、知りたくなりました。
雨はまだ降っていました。でも、足取りは軽かった。